アトリエに缶詰めだった。
娘をどっこにも連れて行かなかった。
そんな、今年の夏。
納得はしてるけど、娘は不満顔・・
「今日、堀川行こっか?オハグロトンボ観る?」
「うん、行くう。」
(本当は僕の方が見たかったんだけどね〜)
堀川まで歩いてたった十分、
ならばもっと通えばいいもんだ。
「オハグロトンボだ。」と
指をさし喜んでみている。
(しめしめ、ずいぶんトンボ好きになったなあ。)
と仕向けていた悪代官の父はニヤニヤ。
川を覗くと、思いの外多く飛んでいた。
(それにして飛び方が美しいなあ)
けだるい夏の濃緑の中、
涼しげな小川の上が
オハグロトンボの天国にみえた。
至る所で舞うように
楽しげに。
「いる。いる。」
橋の上に行くと、でっかい鯉が
集まってきた。その中に
亀も混じっている。
えさをあげている人がいるんだろう。
いっせいに口をパクパク。
かなりの数がいた。
帰りは薄青色の空に、
夏最後の積乱雲がみえた。
もう夏も終わりだ。
短かかったなあ・・・