紅く染まった橋

 

 

こんなことを思い出した。

 

学校から帰って、

自転車で20分もかかる松川グランドで今日も遊ぶ。

帰る時間は5時の約束だったのに・・

夢中になりすぎ、もう日が沈みそう。

 

約束をとうに過ぎて

(また怒られるなぁ!)と途方にくれた。

 

川沿いのサイクリングロードを

母の怒った顔を想い、

自転車のペダルをこいでいると・・

 

向こうの上松川橋に

ちょうど電車が通りかかる。

 

 



(赤いなあ!)

思わず独り言が…。

その言葉で初めて“夕日が綺麗”と気付く。


自転車を止めて

夕日に走る電車と

家路に急ぐ人々を眺めた。

なんだか少しだけ元気が出てきた。


(よし僕も帰ろう!)


ペダルを強く踏み込んだ。


踏みしめる度に

空は紅く紅く、

そして暗くなっていった。