トンネルをぬけると
オレンジ、黄色、赤や緑色が
暗闇に厳かに光る。
(ああ、福島盆地だ。)心の中でつぶやく。
(長かったな〜。)荷物をまとめながら
切符が気になって、ポケットに手をつっこんだ。
帰ってこられなかった。だって四浪だもの。
人の目が怖かった。何を言われるか怖かった。
やっと帰られる“お金で買えない切符”
を手に入れた。
もうすぐ福島駅。
(ああ〜やっと帰ってこられた。)
安堵感と一緒に、こらえてきたものが
ポロポロと大粒に落ちてきた。
この時期はこんな事を思い出す。