福島からアトリエへ

 

 

「いや〜本が好きだから、まいったなぁ。今は主にラジオだな。」

 

先週、高校時代の恩師の先生に会った。

わざわざ、アトリエを訪問して下さったのだ。

近年、病気で視力障害となり、介助の息子さんと一緒だった。

息子さんとは、絶妙なコンビで先生の表情はいつも柔らか。

 

「今は、図書館の雑誌も音声になってんのも あんだよ。」

 

 

過酷な現実があったに違いない。

無理をし過ぎず、少しずつ受け止めながら

プラスの方向へ自身を導いてくその姿は

僕にとって、今も 先生そのもの だった。

 

(いくつになっても、かなわないなあ・・)

そんな風に思いながら、帰りのタクシーを見送ると

真っ白な髪になった先生はやっぱり笑顔だった。