山小屋のいろいろな仕事をやりながら、
たまに、喫茶コーナーをたのまれた。
尾瀬の登山者にコーヒー、軽食を出す仕事だ。
一人で任されるのは、たいへんだったけれど
登山者にコーヒーを出せば
少しの間、窓からあの風景をみていられる。
その尾瀬ヶ原湿原に
白樺の木が並んでいる。
お気に入りの風景なのだ。
僕の大学二年の夏休みは
すべて、尾瀬の山小屋アルバイトだった。
“スケッチしながらのんびり”なんて
思いながら、軽く引き受けたのだったが・・
電気の来ていない、それでいて、
宿泊定員250名もの食事を出す山小屋。
それを10名に満たないスタッフで 取り仕切るのだから
まあ、経験したことがない忙しさ。
特に臨時バイトは僕一人だったから、
要領の悪さも手伝って疲労困憊だった。
どのぐらいの疲れかというと
疲労と睡眠不足で布団をたたみながら、
いつの間にか気を失うぐらい・・笑
それでも、人間慣れるもんで
半月後には、楽しみを見つける。
あの窓から見た尾瀬ヶ原の風景。
多分、一生忘れないだろう。