三十五年前

 

 

「8月14日同窓会やるんだげど・・福島に帰ってるがい?」

携帯電話の向こうで、中学校のクラスメイトが

柔らかい声で話している。


 三十五年ぶりだ。

懐かしさが襲ってきて、嬉しくて

たくさん話したかったが、何から話していいことやら・・

案外、言葉が出ない。

 

「名古屋だがら・・無理がな と思っては いるんだげど・・」

と、遠慮がちに言ってくれた。

「いやっ・・俺、福島・・帰る時あっから、

 行げるかも・・しんねげど・・」

と、考えながら できるだけ前向きに答えた。

 

結局、制作が遅れていて帰省できず、

“同窓会に行くことは叶わないこと”を後日連絡する。

 

 

でも、会いたかったなあ・・