父のこと2~ 赤レンガ色の機関庫 ~

 

 

   約十年前、帰省時の出来事だ。

 

 

  「お父さん、月に二回は 新庄 で運転してだんだよ。」

  と何気無く言った母の言葉に・・

 

  (明日、行ってみようかな)

  と普段は重い腰の自分が思った。

 

 

  (新庄か・・・)

 

  お隣の山形県にあるといっても、

  新庄となると、福島から山形新幹線で二時間。

  東京まで一時間三十分の ご時世 からは結構遠く感じる。




 

  次の日、新幹線を使わないで

  約四時間掛けて、新庄駅にたどり着く。

 

 

  乗り疲れた身体で辺りを見渡すと・・

  まるで待っていたかのように、それはあった。

 

  父も携わったであろう・・

  レンガ色の 年季の入った機関庫。

 

  (屋根の上に煙出しがあるから蒸気機関車の頃から?)

  調べると、明治36年に作られ今も現役。

  何度も何度も補修され、塗り直されて大事にされている。


 

  (来て、良かったなあ・・)

  時代を乗り越えて来た 佇まいに、少し胸が一杯になった。