あの夏の匂い

 

 

子供の頃、

 

夏布団がベビーパウダーの匂いになった。

赤ん坊と一緒に寝ていたわけではない。

 

そう、“汗疹(あせも)”である。

 

“汗疹(あせも)”が出るとベビーパウダーの登場・・

蚊取り線香に次ぐ“夏の匂い”の定番だった。

 

肌をさらさらにするのだから、

汗疹に良く効くと母は信じていた。

僕も匂いが嫌いじゃない事も手伝って

うちでは「これでもか」というぐらい多用されていた。

 

 

 

 

 

 

 

でも小学生三年生ぐらいだろうか、

友達から「おまえ、赤ちゃんの匂いすっぺ!」

などと周りに聞こえるように馬鹿にされたため・・

さすがに母に懇願し、僕のパウダー人生は終了した。

 

 

皮膚の治療が進んだ現代では

ベビーパウダーは毛穴に詰まって良くないとか

呼吸器に良くないとかで、使わない人が多い。

   ※呼吸器には影響はないと言われています。

本来は汗疹の出来る前の予防として使うらしい。

 

 

時代によって変わる“夏の匂い”

あの匂いを嗅ぐと程よい安心感のなかに、

少し昔の夏景色が浮かぶ。