残すことは大事だが、残せないこともある。
これは、難しい問題である。
原爆ドームの永久保存が決定したのは昭和41年だから
20年以上議論している。
残すためには
その出来事を忘れたくない人、忘れたい人の
折り合いと絶妙なタイミングの決断が必要で、
そのバランスを一歩間違えると・・
一番傷ついている人が忘れられなくなって
より傷ついたりする。
東日本大震災の震災遺構も・・残すか、残さないかは
人によって違うから、容易に決断出来ない。
でも、年月は尖った感覚、大怪我した心に
ほんの少し、丸みを帯びさせていく。
そうなって初めて、保存について考える余地も生まれる。
もうタイムリミットで残せなかったものは
運命であるから仕方がないのだけれど、
震災遺構を話せるのはこれからかもしれない。